119期 米国上院による101条改正法案(S.1546)
米国特許適格性回復法案(Patent Eligibility Restoration Act:PERA)
2025年5月1日

本年もPERA(101条改正法案)が上院に提出された。昨年度(118期)のPERAと比べるとMyriad最高裁判決(2013年)の判示事項(単離された遺伝子は適格性がない)を成文化した点が顕著に異なる。それ以外に関しては101条の適格性がないものを列記し、その内容に大きな違いはない。
Summarized by Tatsuo YABE on 2025-06-01
法案(S1546:2025年5月1日に上院に提出)の概要は以下の通り:
SECTION 1:
本案は2025年特許適格性回復法案(“Patent Eligibility Restoration Act”)と称する。
SECTION 2:
連邦議会は昨今の特許適格性に関して以下のように考える。
(1)特許保護適格性(101条)に対する昨今の法解釈を大胆に変更、且つ、明確にする必要がある。
(2)最高裁及び他の裁判所において101条の適格性に対して司法の例外を創出したがゆえに多くの発明の特許適格性が否定された。
(3)上記(2)による司法の例外によって裁判所の判断、及び、特許の実務家に多大な混乱を招いた。
(4)CAFC及び連邦地裁の多くが101条の適格性判断に対するより詳しいガイダンスの必要性を切実に望んでいる。さらに、特許権者及び実務家の多くも101条の適格性の判断基準が混乱を極めており、当該基準を自信を持って適用できないと不平を述べている。
(5)本改正法案によって、101条の適格性を以下のように明確化する:
(A)過去の司法による例外規定を全て排除する;
(B)改正法案の(D)及び(E)で列記するものを除いて如何なる発明または発見も適格性を有する;
(C)102条、103条、112条が特許性を判断する要件であり、これら要件を適格性判断に用いてはならない;
(D)以下は適格性がない:
(i) 発明の部分を構成しない数学の公式(101条、(B)のカテゴリーに属する);
(ii) 人間の思考のみ(人の精神活動のみ);
(iii) 人の体内に存在する遺伝子そのもの;
(iv) 単離されてはいるが、人の体内に存在する遺伝子そのもの;
(v) 自然界に存在するそのもの;
(vi) 実質的には経済、金融、ビジネス、社会、文化、または、芸術に関わる方法;
(E)上記(D)(vi)において
(i) 人によって行われる方法であって、ビジネス手法、ダンスの動作、結婚の申し込みの仕方、及び、それに類する方法、さらに実質的なコンピューターの機能に関連することなく、例えば、単に「・・・をコンピューターで実行する」と記載する場合には適格性を満たさない;さらに、
(ii) 機械(コンピューターを含む)或いは製法を用いないと現実的には実行できないプロセス(方法)は適格性を満たす;
SECTION 3:
(a) 米国特許法 Chapter 10(Patentability of Inventions)を以下のように改訂する:
第100条
(a)(1)(b)にて
(A)略す;
(B)次のパラグラフを100条の終わりに追加する:
発明或いは発見という用語に対し「有用な(useful)」とは当業者の目でみて特定且つ実用的な有用性があるという意味である。
101条: 特許適格性
(a) 一般: 有用な、プロセス(方法)、機械、製造物、或いは、物の組成を発明又は発見、或いは、それらを改良した者はだれでも、以下(b)項で規定する例外をクリアし、且つ、本条文で規定する条件と要件を満たすことによって特許を受けられる:(「新規」を削除している:筆者注)
(b)適格性を有さないもの:
(1) 以下のようにクレームされたものは適格性がない:
(A) 数式であって、上記(a)項に属するクレームの一部を構成しないもの;
(B) (i) プロセス(方法)であり、少なくとも1つのステップは機械又は製造物を参照しているが、実質的には経済、金融、ビジネス、社会、文化的、或いは、芸術的なもの;
(C) プロセスであって、
(i) 人間の思考によってのみ機能するメンタルプロセス;
(ii) 人間の行動とは独立、且つ、人間が行動する前から自然に起こるプロセス;
(D) 人体に存在する組み換えされていない遺伝子;
(E) 自然界に存在する改変されていない自然のもの;
(2) 条件:
(A)上記(1)(A)及び(B)において、機械或いは製造物を利用せずには実質的には機能しないものは適格性を否定されない;
(B)上記(1)(D)において、以下の場合には、人の遺伝子は改変されていないとはされない(改変されている)
(i) 人によって、精製、濃縮、又はその他の方法で変更されたもの; 又は
(ii) 有用な発明或いは発見に使用された場合;
(C) 上記(1)(E)において、以下の場合には、自然界に存在するものは改変されていないとはされない(改変されている)
(i) 人によって、単離、精製、濃縮、又はその他の方法で変更されたもの; 又は
(ii) 有用な発明或いは発見に使用された場合;
(c) 適格性
(1) クレームされた発明が適格性を備えているか否かは、次のように判断する:
(A) クレームの構成要素の何れも除外することなく、クレームされた発明全体として検討する;
(B) 以下は考慮に入れない;
(i) クレームされた発明に至った経緯;
(ii) クレームの構成要素が、周知、一般的、習慣的、或いは、自然に発生するか否か;
(iii) 発明が為された時点での技術水準;
(iv) 本条文で規定する新規性、進歩性、或いは、記載要件;
(2) 侵害
(略す)
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現在の101条(1952年に立法)
新規かつ有用なプロセス、機械、生産品、組成物、またはそれらの新規かつ有用な改良を発明ないし発見した者は、本法に定める条件および要件に従って特許を受けることができる。
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U.S.C. 101 – Inventions patentable
Whoever invents or discovers any new and useful process, machine,
manufacture, or composition of matter, or any new and useful improvement
thereof, may obtain a patent therefor, subject to the conditions and
requirements of this title.